新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、長期間、外出を自粛していたかたも多いでしょう。足を動かす機会が減ると、下半身の血流やリンパが滞りがちになり、むくみにつながります。足がむくむと重だるくなって動きづらく、さらにむくみが増すという悪循環に陥ります。今回は、そんな足のむくみに効くツボと足裏ゾーンをご紹介します。足が軽くなって動きやすくなるでしょう。
【解説】佐藤一美(東京都指圧師会会長)
解説者のプロフィール
佐藤一美(さとう・かずよし)
あん摩マッサージ指圧師。東京都指圧師会会長。東京都指圧師会杉並支部長、日本経絡指圧会会長、日本指圧協会副理事長も務める。『本当に効く「ツボ」が正しく押せる本』(マキノ出版)、『痛みをとる・病気にならない 体に「効くツボ」大地図帖』(永岡書店)などの著書がある。
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体の「水ハケ」をよくしよう
泌尿器の健康と足の血流が大事
足のむくみは、水分の代謝がよくないことの現れです。こうした水分の停滞は、足腰の冷えなどによって「気」(エネルギー)が不足し、血行が悪くなると生じます。東洋医学では、この状態を「水毒」といいます。いわゆる「水ハケ」が悪い状態です。
体内での水分の代謝が正しく行われ、適切に排出されるには、泌尿器が正常に機能しなければなりません。また、下半身の血流をよくすることも大切です。下半身の血液が心臓に戻るには、足を動かすことが必要ですが、むくみがあると歩くのもつらいでしょう。マッサージや指圧でむくみを軽くすることで、「運動不足とむくみの悪循環」から抜け出すことができます。
足裏マッサージを併用すると効果アップ
ツボ指圧に足裏マッサージを併用すると効果が高まることは、長年の治療経験において日々実感しています。ですから、皆さんがセルフケアとしてツボ指圧をする際にも、ぜひ足裏マッサージをいっしょに行ってください。
足裏には全身に対応したゾーンがあり、そこを刺激することで臓器や器官の状態がよくなると考えられています。体の余分な水分を排出するためには、足裏の腎臓・輸尿管・膀胱のゾーンを刺激します。
また、私たちの体には、主に12本の経絡(気が巡るルート)が通っています。むくみの改善には、水分代謝に深くかかわっている膀胱経という経絡の流れをよくすることが必要です。そのために、膀胱経に属する承山(しょうざん)のツボを刺激します。
こむら返りやしびれにも効く「足の万能ツボ」
膀胱経に属し、足の水分代謝を改善するのに格好のツボが、ふくらはぎの承山です。「承」という字は、「承知」「承諾」などに使われることからもわかるように、「引き受ける」という意味ですね。承山は、こんもりと「山」状に盛り上がっている、ふくらはぎの症状を一手に引き受けるツボです。むくみはもちろん、足の腫れや痛み、こむら返り、しびれなど、足に現れる幅広い症状に使われます。足の万能ツボといえるでしょう。
また、夜寝る前に承山のツボをよく指圧すると、足腰の血行がよくなって体が温まり、熟睡することができます。
足裏ゾーンとツボの見つけ方・押し方
腎臓・輸尿管・膀胱のゾーン
ツボ指圧の前に、足裏のゾーンをマッサージします。両足の裏の土踏まずのへりから、足の裏の中央にかけてのゾーンです。下の写真は左足ですが、右足も同じ位置です。左右の足の裏を5分ずつ、気持ちよく感じる程度の強さで押しもみしましょう。手の指で押しても、市販のツボ押し棒などを使ってもかまいません。
承山のツボ指圧
承山のツボは、ふくらはぎのほぼ中央に位置します。
アキレス腱の中央から、ふくらはぎの中央に向かってなで上げていくと、かたい腱からやわらかい筋肉に変わる境目の辺りを押してみて、ズーンと響くところを指圧します。
足を軽く曲げて座り、両足の親指を重ねてツボに当てます。ほかの指ですねを抱えて、2・5・2法で3~5分指圧してください。
足を軽く曲げて座り、両手の親指を重ねてツボに当てます。ほかの指ですねをつかみ、2・5・2法(下図参照)で3~5分指圧しましょう。
なお、本稿は『本当に効く「ツボ」が正しく押せる本』(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。