殺風景になりがちな駐車スペースに緑をあしらうだけで、彩りが生まれ家全体が明るく目立ちます。コンクリートのすき間やデッドスペースの植栽演出で庭のような雰囲気になり、奥行きや立体感を出すことができます。人気のタマリュウ、セダム、スカイロケット、アベリア、アガパンサス、ヒメイワダレソウ、フィカス プミラなどを紹介しています。【解説】戸倉多未子(ガーデナー)
著者のプロフィール
戸倉多未子(とくら・たみこ)
有限会社グレイスオブガーデン代表。ガーデナー。暮らしを豊かにする緑の庭づくりをモットーに、小さな庭からエクステリア、ガーデンリフォームまでオリジナルガーデンを手がける。化学肥料に頼らない、自然の恵みを生かした庭づくりを得意としている。ガーデニング講師歴30年、ガーデニング関連の雑誌などでも活躍中。
▼グレイスオブガーデン(公式サイト)
▼戸倉多未子(facebook)
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▼tamiko.tokura(Instagram)
本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。
少しの植栽演出で庭のような雰囲気に!
駐車スペース
殺風景になりがちな駐車スペースに植物を入れるだけで、彩りが生まれ家まわりが明るく目立ちます。コンクリートのすき間やデッドスペースを使って小さな庭に。
駐車場に緑をあしらうだけで家全体がやわらかな印象に!
庭として使えるスペースが少ない場合、駐車場に緑をあしらうのも方法です。
舗装から考える際は、車幅に合わせて枕木やタイルを敷いて、その間の目地に地面をはうような植物をあしらったり、脇にできるデッドスペースに、大きくなりすぎない低木を植えるのも方法のひとつです。
建物と駐車場の間にシンボルツリーを植えるとスペースを分けることができますし、外からの目隠しにもなります。また、パーゴラや柵を設置すれば、狭い駐車場でも奥行きや立体感を出すことができます。
すき間やデッドスペースに緑をあしらう
植栽演出で駐車場が素敵な庭空間に!
駐車場奥のデッドスペースに植栽スペースを設けることで、癒し空間を演出できます。自然にはみ出したように植えてある植物がかわいらしい印象に。
駐車場のまわりを緑で囲むようにすると、庭のような雰囲気になります。多種類の植物がイキイキと茂り、家族を送り迎えします。鉢植えも使いこなして。
家の基礎を石貼りで隠して重厚感を演出。建物沿いの植栽スペースは、奥行き70cmあればシンボルツリーも植えられます。車がないときにも絵になる空間です。
POINT
“敷き素材 + 草花”のコーディネートで明るく生まれ変わる駐車スペース
駐車場は人工的で平坦な印象になりがちですが、明るい色みのレンガを敷くと印象が変わります。複数の色を組み合わせたり、ランダムな配置でリズミカルな雰囲気にするのもおすすめです。植栽の緑が映えるおしゃれな空間になります。
小さな庭の植物カタログ
駐車スペースにおすすめの植物
駐車場のすき間がきれいに埋まる草 BEST3
タマリュウ
チャボリュウノヒゲとも呼ばれ、葉が小さく密生してマット状に茂る。草姿が安定しているため、芝生のような景観をつくるのに向く。冬には青紫の実をつける。場所を選ばず、手間いらずで育てられる。混みあってきたら株分けを。
クリーピング タイム
ハーブのひとつであるタイムの仲間で、地をはうように広がるほふく性の代表種。踏みつけにも強いので、グラウンドカバーにぴったり。春に5mm程度の小さな花を手まり状に咲かせる。乾燥を好むので、蒸れないように風通しのよい場所で育てる。
セダム
500種類以上もの品種がある多肉植物。葉は緑色でマット状に群生するものや、茎が伸びて枝垂れるものなどさまざま。乾燥には強いが、春と秋の生育期には、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるのがポイント。
枝葉が張らずかさばらない樹木
スカイロケット
樹形はピラミッド形で横に広がらず、スペースが少ない場所でも植えやすい直立性の樹木。蒸れないよう秋には透かし剪定をするのがおすすめ。
マホニアコンフューサ清流
糸のように細い葉が特徴で、早春に長い花穂に黄色い花を咲かせる。植えつけ場所を選ばない。病害に強く手がかからないが水枯れには注意を。
アロニア
まっすぐ伸びて、軽やかな立ち姿。生長もゆるやかなので、小さな庭におすすめ。赤い実がなるものと、黒い実がなるものがある。高温多湿は避ける。
自由に剪定しても枯れにくい植物
マートル
糸のように細いおしべが特徴的で、白い花を枝先に開花させる花木。病害虫に強く、育てやすい。
アベリア
花期が長く、大きく育てると枝が枝垂れてアーチ状になる。品種によっては季節ごとに葉色が変わるものも。冷たい風があたらない場所に植えて。
シルバープリベット
葉色が明るく、葉の縁に入った白い斑が花のない時期でも周囲を明るく演出する。6月に甘く香る小さな白い花を多数つける。排気ガスや潮風に強い。
スペースの脇に植えやすい植物
エリゲロン
プロフュージョンという品種は、キクのような小花が花期の間に白からピンクに変化する。丈夫で育てやすく、植える場所を選ばない。
ロニセラ 二ティダ レモンビューティ
1cm程度のレモン色の斑入りの美しい小さな葉が、はうように枝を伸ばす。季節の変化とともに葉の色が変わるので、年間を通して楽しめる。
アガパンサス
初夏に淡い青紫や白の美しい花を多数咲かせ、立ち姿も優雅。草丈や花形は種類によって異なる。かなりの乾燥にも耐えるため、水やりはほとんど不要。
踏みつけに強い植物
ヒメイワダレソウ
花期が長く、3~4mmの小花が多数集まって、1.5cmくらいの球状の花を咲かせる。強い日差しや高温に強く、コンクリートの上でも茂る。
フィカス プミラ
ハート型の葉に白く縁どるような斑がアクセント。つる性の茎を伸ばし、壁や地面をはわせることも。水はけのよい土を使って育てて。
ペニーロイヤルミント
地をはうほふく性のミントの一種。踏みつけにも負けない繁殖力の強さで、あっという間に広がる。毒性があるため、口にしないよう注意して。
なお、本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。下記の本は、知りたい情報の全文がコンパクトにまとまった一冊です。詳しくは以下のリンクをご参照ください。
※(4)「場所別アイデア(メインの庭)」はこちら