22年におよぶ肥満治療のなかで、私が提唱するのは「出す栄養学」です。これは、不要物をきちんと出してから必要な栄養素を取り入れる、という考え方です。当クリニックはダイエット外来を開設していますが、ヨーグルトみそ漬けによる食事療法はダイエット外来の切り札です。【解説】光武和彦(ホロス光武クリニック院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

光武和彦(みつたけ・かずひこ)
ホロス光武クリニック院長。医学博士。日本産婦人科学会専門医。日本胎盤臨床医学会認定医。YNSA(山元式新頭鍼療法)学会認定医。久留米大学医学部卒業、同大学院博士課程(専門:栄養・代謝)修了。筑後市立病院産婦人科医長などを経て、1990年、光武産婦人科を開院。1997年、食事療法を中心とした肥満治療外来を開始し、診療を本格化。2013年、ホロス光武クリニックに改称し、現在に至る。

20kgやせは250人超!各メディアも大注目!

ヨーグルトみそ漬けは、ヨーグルトとみそを混ぜた漬け床に野菜を漬けた、ぬか漬けの簡易版です。当クリニックは肥満治療(ダイエット外来)を開設していますが、ヨーグルトみそ漬けによる食事療法は、ダイエット外来の切り札です。

先日は、TBSの人気番組『名医のTHE太鼓判!』でも紹介され、ますます注目を集めました。続々とメディアに取り上げられたことで、熱心にヨーグルトみそ漬けを作るかたが増え、私もうれしく思います。

ヨーグルトみそ漬けをはじめ、独自の食事療法を患者さんに実践してもらうと、「何をやってもやせられない」「どんなダイエットも続かなかった」という人たちが、おもしろいようにやせていきます。

これまで、肥満治療で来院された患者さんは、2019年7月の時点で、のべ2947名です。そのうち、10kg以上のダイエットに成功した人は、半数近くの1314名。20kg以上やせた人も、250名を突破しました。

ヨーグルトみそ漬けを解説する前に、なぜ太るのか、その根本の原因をお話しする必要があります。

22年におよぶ肥満治療のなかで、私が最も重要視しているのが、「腸の働き」です。

現代の栄養学は、「この食材にはどのような栄養素が含まれ、どのような作用があるのか」との視点に基づいた、いわば「入れる栄養学」です。しかし、食べ物があふれ返る現代では、誰もが「入れ過ぎ」になる傾向があります。

そこで、私が提唱するのは「出す栄養学」です。これは、不要物をきちんと出してから、必要な栄養素を取り入れる、という考え方です。

この考えに基づき、腸内環境を改善する食事を心がけるよう患者さんに指導したところ、当クリニックの治療成績は、一気に向上しました。

活性酸素発生の9割は腸の腐敗が原因!

具体的に解説しましょう。通常、きちんとした食事をとっていれば、栄養がスムーズに消化・吸収・排泄されます。そして、吸収された栄養素は、血液とともに運ばれて、全身の細胞へ届けられます。

ところが、間違った食事法を続けて腸内環境が悪くなると、せっかくとった栄養素がうまく消化されずに腸内にたまり、腐敗を起こします。真夏に生ゴミを放置しておくと、ヘドロのように腐って悪臭を放つでしょう。このような現象が、腸内でも発生しているのです。

腸内に異常発酵が起こると毒素が発生し、消化管から肝臓へ流れ込みます。毒素は、若いころや異常発酵の量が少ない場合は、肝臓で完全に解毒できます。

ところが、加齢や脂肪肝などにより肝機能が低下していると、毒素を解毒し切れません。すると、解毒し切れなかった水溶性の毒素は、腎臓から尿として排出されます。

しかし、脂溶性の毒素は、尿から排出できないため、血液にあふれ出ます。血中でも解毒しようとしますが、過剰な汚れが入ると解毒が追いつかず、血液にのって運ばれます。そして、最終的に、脂肪細胞にたくわえられます。

つまり、脂肪細胞は、排出できなかった脂溶性の毒素をため込む蓄積場、というわけです。

よく、肥満は、余剰なカロリー(エネルギー)が脂肪細胞に蓄積されるため、と考えられています。しかし、長年、肥満治療に携わってきた私から見ると、それは一部に過ぎません。

どんなに食事を減らしてもなかなかやせられないのは、脂溶性の毒素が増えることに比例して、それをためる脂肪細胞も肥えていくから──これが、真の肥満の正体なのです。

ですから、脂溶性の毒素を発生させる腸の腐敗を食い止めれば、毒素が脂肪細胞にたまらなくなるのでやせる、ということになります。

腸の腐敗化を防ぐことは、肥満解消のほか、活性酸素から身を守ることにもつながります。

活性酸素は、老化や細胞の酸化を促す物質です。過剰に発生すると体がサビつき、シミやシワ、生活習慣病、ガンなどを引き起こす要因となります。

実は、活性酸素の発生の9割は、腸の腐敗が原因です。

喫煙やストレス、紫外線、電磁波などでも活性酸素は発生しますが、それらの発生原因は、すべてを合わせても1割程度です。つまり、腸の腐敗を防げば、活性酸素の発生をほぼ抑えることもできるわけです。

そこで私が推奨している食品の一つが、ヨーグルトみそ漬けなのです。

ヨーグルトみそ漬けは、ヨーグルトの乳酸菌とみその酵母、そして、野菜の食物繊維、オリゴ糖、酵素などを一度に摂取できるのが最大の特長です。腸内の善玉菌を増やすうえ、味もおいしいので、無理なく続けられます。

画像: 毒素と活性酸素の発生を防ぐ!

毒素と活性酸素の発生を防ぐ!

次項では、その魅力を詳しくご紹介しましょう。

脂肪を分解する酵素を効率的にとれる!

当クリニックでは、ダイエット外来を受診される患者さんには必ず、漬物を食べるよう指導しています。なかでも「ヨーグルトみそ漬け」は、前項で解説した、肥満の原因となる腸の腐敗を防ぐ特効食です。

善玉菌は、酸性の環境を好みます。腸内を酸性に保つには、植物性の食品を積極的にとり、酵母やオリゴ糖、食物繊維など、善玉菌のエサになる物質を腸に届けることが重要です。

例えばぬか漬けは、乳酸菌や酵母、ビタミン類などが多く含まれる、優秀な発酵食品の一つです。しかし、手入れが大変なのが欠点でしょう。

そこで私は、乳酸菌が豊富なヨーグルトと、酵母が豊富なみそを混ぜ合わせて、野菜を漬けてみました。すると、とてもおいしく漬かったので、これをぬか漬けのかわりに勧めようと思ったのです。

ヨーグルトみそ漬けは、乳酸菌や酵母、酵素がたっぷり含まれた「生きた食べ物」です。

乳酸菌と酵母は、加熱すると大半が死滅してしまいます。死滅すると効果が完全に消えるわけではありませんが、ヨーグルトもみそも、生のままなら、元気な乳酸菌と酵母を摂取できます。

一方、酵素は、消化・吸収・解毒・排泄などの代謝に使われる、生命活動に欠かせない物質です。しかし、体内で産生する量には限りがあるほか、加齢に伴い、その能力はしだいに低下します。ですから、酵素は、毎日の食事による摂取が欠かせません。

酵素は、野菜や果物、発酵食品に豊富ですが、高温になると作用を失うのが特徴です。では、生のサラダをたくさんとればいいのかというと、そうではありません。

植物の細胞壁は、ヒトの腸では分解できないセルロース(多糖体の一種)でできています。つまり、サラダの状態では、すべてが消化・吸収できず、腸内に未消化物が残ってしまうのです。加熱をすればセルロースの構造はくずれますが、それでは酵素が十分にとれません。

そこで有効なのが、漬物にすることです。植物の細胞を囲むセルロースが発酵の過程で緩むため、消化・吸収されやすい状態に変化します。

つまり、ヨーグルトみそ漬けは、腸に有用な菌と野菜の栄養素だけでなく、酵素もしっかりと摂取できる、理想的な腸活性食なのです。酵素をたっぷりとれば脂肪の分解に使えるため、ダイエットをするためには積極的に摂取すべきです。

また、ヨーグルトみそ漬けは、〝やせ酸〟とも呼ばれる、近年話題の短鎖脂肪酸を作り出すのにも有効です。

短鎖脂肪酸は、善玉菌が食物繊維やオリゴ糖をエサとして食べることで腸内にできる物質です。腸内を酸性に導いて善玉菌を増やし、脂肪の蓄積を抑える働きがあります。腸の腐敗を改善するには、この物質の働きも欠かせません。

どんな高価なサプリメントより有効!

いいことずくめのヨーグルトみそ漬けですが、その効果を最大限に引き出したいなら、ぜひ、豆乳で作ったヨーグルトで漬けてください。豆乳ヨーグルトは、ヨーグルトみそ漬けと同様、当クリニックの食事療法において重要な食品です。

日本人の腸は、乳児期以降、ヨーグルトの原料である牛乳の糖やたんぱく質を消化・吸収する酵素が、しだいに減っていきます。元来、日本人は、野菜や果物、穀物を食べてきた人種です。乳製品は、日本人の腸には合っていないといえます。

当クリニックは、ヨーグルトみそ漬けのヨーグルトは、乳酸菌をとる目的で利用していました。しかし、近年は、大豆由来の豆乳ヨーグルトで漬けることを推奨しています。

豆乳ヨーグルトは、乳酸菌はもちろんのこと、基礎代謝を高める植物性たんぱく質や、脂質や活性酸素を減らすサポニンも豊富なうえ、低糖質です。

事実、豆乳ヨーグルトでヨーグルトみそ漬けを作るように指導したところ、飛躍的に成果が上がりました。どんな高価なサプリメントよりも有効だと感じます。

患者さんには、豆乳ヨーグルトを、漬け床として使うほか、食事の一品としても積極的にとってもらっています。最近では、より効果を高めるために、取り出したヨーグルトみそ漬けに豆乳ヨーグルトをかけて食べることも勧めています。

ちなみに、豆乳ヨーグルトは、市販品もありますが、手作りのほうが安上がりです。ほのかな甘みと大豆の風味が絶品ですので、ぜひ試してください。

画像: 豆乳ヨーグルトをかければ効果アップ!

豆乳ヨーグルトをかければ効果アップ!

前項でお話しした、腸の腐敗を防ぐためには、野菜や穀類を中心とした、昔ながらの和食が有効です。そして、和食を心がけながら、腸内の善玉菌を増やし、不要物をスムーズに排出できる腸内環境に整えることが重要となります。

そこで役立つのが、ヨーグルトみそ漬けや豆乳ヨーグルトです。これらを食生活にプラスすることで、腸は見違えるほど元気になります。

私は、かれこれ20年以上前から、ヨーグルトみそ漬けを作り続けています。そして、試行錯誤をくり返した結果、現在の豆乳ヨーグルトで漬けた方法にたどり着きました。

私も毎日、ヨーグルトみそ漬けと豆乳ヨーグルトをとっています。快腸になると身をもって知っているので、日々、患者さんにお勧めしているのです。ぜひ皆さんも、今日から作ってください。

※この記事は『壮快』2019年10月号に掲載されています。

This article is a sponsored article by
''.