〈たんぱく質のサプリ〉プロテインやアミノ酸は効果あるの? 一緒に摂りたいビタミン・ミネラル一覧

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筋肉を大きくするのに必要なたんぱく質を、日々の食事だけでまかなおうとすると、脂質や糖質の摂取量も増えエネルギーオーバーになりかねません。カロリーを抑え良質なたんぱく質を効率よくとるなら、プロテインサプリが有効です。そして、たんぱく質だけでは体調は整わないので、ビタミン・ミネラルの摂取も不可欠です。糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素とビタミン・ミネラルの役割について、書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』著者で理学博士の佐々木一さんに解説していただきました。

解説者のプロフィール

佐々木一(ささき・はじめ)

理学博士。山形大学理学部生命学科卒業後、名古屋大学理学部大学院生物学専攻修了。乳業メーカーの研究員を経て、神奈川工科大学管理栄養学科教授に就任。2019年3月に定年退職。研究員時代にホエイたんぱく質の抗炎症作用を発見し、病院向け流動食として商品化。現在、乳清たんぱく質及び乳清ペプチドを用いた筋肉増強作用の研究を進めている。
▼専門分野・研究論文(KAKEN)

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/くにともゆかり、栗生ゑゐこ、Getty Images

プロテインやアミノ酸のサプリは効果があるの?

効率よく不足分を補えるプロテインサプリ。アミノ酸サプリは吸収スピードが速い

筋肉を大きくするのに必要なたんぱく質を、日々の食事だけでまかなおうとすると、脂質や糖質の摂取量も増えエネルギーオーバーになりかねません。
カロリーを抑え良質なたんぱく質を効率よくとるなら、プロテインサプリが有効です。
プロテインサプリとは、食品からたんぱく質を抽出し粉状にしたもの。食が進まないときなどにプラスすれば、負担なく必要なたんぱく質量が確保できます。

体によいアミノ酸をいくつかミックスしたアミノ酸サプリの利点は、吸収のよさ効果的な量をいっきに摂取できるところです。
たんぱく質は消化吸収に時間がかかりますが、口に入れるときにすでにアミノ酸状態のサプリメントは、消化の必要がないので吸収が速く、短時間で体に作用します。
激しい運動をするなら、BCAA、クレアチン、グルタミンなどのサプリメントの活用は有効です。特長を知って必要なものを選びましょう。

ただ、どちらもそれだけとっていればよいというものではありません。
栄養の偏りが心配なのはもちろんですが、消化吸収で体という機械を日々きちんと動かすことも大切。サプリメント頼みが過ぎれば、体が錆びつき、健康が損なわれることにもなりかねません。
食事で不足した栄養を補うという位置づけで利用しましょう。

プロテインとアミノ酸のサプリの特長

プロテインサプリ

  • アミノ酸20種を網羅
  • ゆっくり吸収
  • 筋肉づくり、成長促進に

ホエイ
牛乳に含まれるたんぱく質。カゼインに比べ吸収速度が速い。ヨーグルトの上澄み液がホエイ。

カゼイン
牛乳に含まれるたんぱく質。吸収速度が遅いため、効果は長時間持続。酸性で沈殿するたんぱく質。

ソイ
大豆に含まれるたんぱく質。コレステロールや中性脂肪を低下させるはたらきがあるためダイエットに適している。

アミノ酸サプリ

  • アミノ酸をいくつかミックス
  • 素早く吸収

BCAA
必須アミノ酸。エネルギー不足を解消し、持久力を向上させる、筋力アップ、筋力低下防止。

クレアチン
体内で合成され、骨格筋内や脳、網膜などに存在する筋収縮のエネルギー供給。

グルタミン
体に一番多く存在するアミノ酸、筋組織に含まれる割合が多い。筋肉分解を抑制して筋力を維持する。

グリシン
コラーゲンの材料となる、睡眠を安定させる。

タウリン
魚介類や軟体動物などに多く含まれる。体内では筋肉や胆のうに存在する。筋肉の収縮、脂質の燃焼、神経伝達。

アスパラギン酸
疲労回復。

※アミノ酸サプリは代表的なものを紹介しています

たんぱく質だけに気を配っても意味がない?

たんぱく質だけでは体調は整わない 一緒にビタミン・ミネラルが不可欠!

糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素が重要なのは、体をつくる材料になり、体を動かすエネルギー源となるから。これらの代謝をスムーズに進めるための潤滑剤が、ビタミンミネラルです。
たんぱく質を十分にとっていたとしても、ビタミンやミネラルが足りなければ、体調は整わないのです。ビタミンは、体内でほとんどつくることができないか、つくることができてもそれだけでは足りません。
また、ミネラルは体内でつくることができないので、どちらも、毎日の食事で摂取する必要があります。

三大栄養素とビタミン・ミネラルの役割

人の体をロボットにたとえると、ボディやAIの材料がたんぱく質、エネルギー源が脂質と糖質、潤滑油がビタミン・ミネラルとなる。

13種類あるビタミンはどれも体にとって欠かせません。
「たんぱく質とのかかわり」という観点から「特に意識してとりたいビタミン」としてあげたいのは、(1)たんぱく質・糖質・脂質、すべての代謝をサポートするビタミンB群 (2)たんぱく質の合成を助けるビタミンC (3)筋肉の合成を促進するビタミンDです。

ミネラルで意識したいのは、亜鉛カルシウムなど。
300種類以上の酵素のはたらきを助ける亜鉛は、たんぱく質の合成にもかかわっています。鉄は、アミノ酸から神経伝達物質をつくるのに必要なミネラル。カルシウムは、骨や歯の材料になるだけでなく、筋肉の収縮や神経の安定にもかかわっています。

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

たんぱく質ととりたいビタミン・ミネラル

ビタミンB群
三大栄養素の代謝のカギを握る。

ビタミンC
ホルモンやコラーゲンの生成、鉄の吸収を助ける。

ビタミンD
筋肉合成をうながし、カルシウム吸収を助ける。

亜鉛
全身の新陳代謝の活性化。


コラーゲンの合成に不可欠。

カルシウム
骨や歯をつくり、筋肉収縮をコントロール。

ダイエットで注目の遊離アミノ酸 カルニチン

ヒトの体をつくるたんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されていますが、たんぱく質にならないアミノ酸も存在します。それが遊離アミノ酸。
カルニチンは遊離アミノ酸のひとつで、アスリートやダイエッターから特に注目されているアミノ酸なのです。

1905年、カルニチンはロシア人化学者により肉汁の中から発見されました。その名もラテン語で肉を意味する「carnis」から命名。
1980年のモスクワオリンピックでカルニチンをサプリメントとして服用していたイタリアチームが好成績をあげたことで一躍有名になりました。

カルニチンのおもなはたらきは、血中に溶け出した脂肪を筋肉細胞内のミトコンドリアに運ぶこと。ミトコンドリアでは脂肪を原料としてエネルギーがつくられます。
つまり、脂肪をエネルギーに変えるのはカルニチンのはたらきが大きいということ。運動時にとれば体脂肪をエネルギー源として効率よく活用できるのです。

健康、美容、コロナ対策にも!? 5-ALA(アラ)

5-ALAは動物や植物など多くの生物に存在する天然のアミノ酸。その起源は36億年前、生命誕生のときには存在していたと考えられ、「生命の根源物質」ともいわれています。

ヒトの体においては、おもにヘムという物資の構成成分としてはたらきます。ヘムは生命活動のカギとなる成分。体内でたんぱく質と結びつき、さまざまなはたらきをしています。
たとえば、ヘモグロビンになり血液を全身に運んだり、カタラーゼになり活性酸素を分解したり。ヘムをつくる5-ALAが無ければヒトは生きられないのです。

そんな5-ALA、サプリメントや化粧品などさまざまな分野で応用されています。サプリメントとして摂取すると、エネルギーをつくり出すミトコンドリアが活性化。代謝がよくなることで肥満予防や免疫向上、美肌効果などさまざまな効果が期待されます。
さらに最近の研究では、新型コロナウイルスの感染抑制効果が示され、ますます注目されそうです。

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なお、本稿は書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。ヒトの体の約60%は水分で、次に多いのが約20%を占めるたんぱく質。筋肉の原料となることはよく知られていますが、皮膚や髪、爪、血管、内臓に至るまで、たんぱく質から構成されていることはご存知でしたでしょうか。ダイエットの成功も、美しい肌や髪をつくるのも、心身の健康を保つのも、すべてたんぱく質がカギとなっているのです。本書では、たんぱく質のはたらきから、よりよい摂取方法、また摂取不足が引き起こす諸問題について、わかりやすく説明しています。難しい話は苦手という方でも、たんぱく質についてやさしく学べる内容となっています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ
¥990
2021-12-07 11:25

良質なたんぱく質と言われる食材って何?【動物性と植物性の違い】の記事もご覧ください。

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