昔から、日本酒を多く飲む杜氏や力士などは、ハリのある、ツヤツヤした肌をしているといわれてきました。このいい伝えが真実であることが、今、科学的に証明されつつあります。【解説】尾関健二(金沢工業大学バイオ・化学部応用バイオ学部教授)

解説者のプロフィール

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尾関健二(おぜき・けんじ)
金沢工業大学バイオ・化学部教授。農学博士。ゲノム生物工学研究所研究員。岐阜大学大学院農学研究科修士課程(農芸化学)修了。大関酒造(株)入社後、(株)醸造資源研究所出向、築野食品工業(株)企画開発室テクニカルアドバイザーなどを経て現職。専門はこうじ菌や酵母などの発酵・酵素利用、発酵微生物の分子育種、機能性食品・化粧品素材の開発など。

驚異的な上昇度合いで肌の水分量がアップ!

※酒かすをとってかゆみが出たり不調を感じたりした場合は、アルコールアレルギー、もしくは酵母アレルギーの可能性がありますので、摂取を控えてください。

昔から、日本酒を多く飲む杜氏や力士などは、ハリのある、ツヤツヤした肌をしているといわれてきました。このいい伝えが真実であることが、今、科学的に証明されつつあります。

私は、長年にわたって、日本酒の成分について研究してきました。そこで、日本酒や酒かすが肌にもたらす、さまざまな効能が明らかになりました。別記事の「酒かすゼリー」も、美と健康に有効な食事法といえるでしょう。

私たちの肌のハリや弾力を保つ役割をしているのが、肌の真皮層で産生されるコラーゲンです。コラーゲンは、年齢とともに減少していきます。コラーゲンの量を、0歳が100とすると、20代で80%、30代に入ると40%、50代では20%以下にまで減ってしまいます。

そのコラーゲンを増やす作用をもたらす物質が、日本酒や酒かすに含まれています。それが、日本酒の旨み成分である「α-EG」です。

私たちは、この物質の作用を確かめる実験を行いました。

20~40代の女性5名に、純米酒(α-EG含有量は1.1%)55mlを、6日間にわたって飲んでもらいました。

すると、1週間後から、肌の真皮層のコラーゲン産生が有意に増加し、それが6週にわたって続くことが判明しました。日本酒の旨み成分がコラーゲン量を増やすと、世界で初めて、学術的に証明されたのです。

そして、私たちは、酒かすでも、α-EGの効能を調べる実験を行っています。これは、NHKの情報番組『あさイチ』でも取り上げられ、話題となりました。

用いたのは、純米酒の酒かす(α-EG含有量は0.6%)です。40~50代の女性4名に、水と砂糖と酒かす50gで作った甘酒を、朝晩300mずつ、1週間摂取してもらいました。そして、飲む前、1週め、2週めの、肌のコラーゲン密度をそれぞれ計測しました。

■α-EGの働きで肌のコラーゲンが増えた!

画像1: 驚異的な上昇度合いで肌の水分量がアップ!

すると、4名中3名は、1週めから、コラーゲンの密度が上昇しました。そして、2週めには、残り1名の密度もアップしました(上図参照)。

つまり、全員のコラーゲン密度が有意に上昇したのです。この傾向は、3週め以降も継続すると考えられます。

さらに、同実験では、肌の表皮層の角質に含まれる水分量も計測しました。角質水分量が増えることは、肌のツヤや潤いが増すことを意味します。

■α-EGの働きで肌の水分量が増えた!

画像2: 驚異的な上昇度合いで肌の水分量がアップ!

その結果、2週めには、水分量が大きく上昇することを確認しました(上図参照)。ヒトの臨床実験では初の成果であり、この上昇度合いは、我々も驚くほどのレベルでした。

年配の人ほどコラーゲンが増える!

では、α-EGは、どのような過程で、コラーゲンの産生や、角質水分量の増加にかかわっているのでしょうか。

α-EGは、小腸から吸収されると、全身を巡り、皮膚の真皮層に行き着きます。そして、真皮層の毛細血管に運ばれたα-EGは、同じ真皮層内にある線維芽細胞という、コラーゲンを産生する細胞に蓄積されます。

線維芽細胞は、α-EGによって活発化し、コラーゲンを多く産生します。余ったα-EGが表皮層まで浸透し、角質細胞のバリア機能を強化した結果、角質の水分量も増えた、というわけです(下図参照)。

■α-EGが肌にコラーゲンと水分を与える!

画像: 年配の人ほどコラーゲンが増える!

なお、α-EGを摂取したとき、若い人よりも年配の人のほうが、コラーゲン増加の比率が高いことがわかっています。ですから、若々しい肌を保つためには、年配の人こそ、積極的に日本酒や酒かすをとったほうがいいのです。

また、酒かすには、「レジスタントプロテイン」という、難消化性たんぱく質の一種も豊富です。レジスタントプロテインは、食物繊維のような作用があり、便秘改善やコレステロールの排出促進、肥満抑制などの効果が確認されています。

α-EGの含有量は、日本酒のほうが豊富ですが、レジスタントプロテインもとれるという点では、酒かすも優秀な食材といえます。

そして、酒かすゼリーの場合は、食物繊維が豊富な寒天を用いるため、さらなる整腸効果が期待できます。ちなみに、α-EGは、加熱しても成分が損なわれないため、安心して調理してください。

酒かすの摂取量は、1日50g程度が目安です。これくらい摂取すれば、レジスタントプロテインが健康効果を発揮する1日の必要量をとることができます。それ以上摂取しても問題ありません。

残念ながら、日本酒や酒かすのα-EGの含有量は、成分表に表記されていません。α-EGは、純米酒に多く含まれているので、酒かすも、純米酒で作られた物を利用するといいでしょう。

ぜひ皆さんも、酒かすゼリーをはじめとした日本酒由来の食品をとり、美と健康に役立ててください。

画像: この記事は『壮快』2019年11月号に掲載されています。

この記事は『壮快』2019年11月号に掲載されています。

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