今回は少し趣向を変え、2022年に放映がスタートするアニメの中で成功が期待できそうなタイトルを探っていきます。当然、放映されない限りは、どの作品がより優れているかは読めないのですが、過去の名作や今年放映予定のラインナップを整理することで、「どれが名作になるのか?」というヒントを見つけられるかもしれません。

アニメ作品のヒットの基準とは

序盤で低迷しても結果的に大ヒットとなる作品も

結論から言えば、「何が成功するかは、放映されなければ分からない」というのが作品の常です。例えば2017年に放映された『けものフレンズ』は、オリジナルコンテンツでありながら大きなヒットを残した例としても知られています。しかし、ストーリーの全容が見えていない序盤の時点では、さほど注目を浴びてはいませんでした。

画像: 序盤の低迷にもかかわらず、結果的に大きなヒットを記録した『けものフレンズ』。 twitter.com

序盤の低迷にもかかわらず、結果的に大きなヒットを記録した『けものフレンズ』。

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一方で、人気度の高い原作をアニメ化したが結果が振るわず…といった事態を招くことも、珍しくはありません。

「名作」という価値観も個々人の趣味趣向により大きく分かれるところではありますが、本稿では

・ある程度の商業的成功を成し遂げている

・放映から年月が経過しても根強い人気がある

・放映後に2期、3期の制作や映画化など、新たな商業展開が行われている

・メディアミックス、グッズ販売が強化されている

といった要素を満たす作品を「ヒット作=名作」として捉えることとします。

アニメ企画の「成功」パターンはいろいろ

そもそも、アニメの放映が行われるにあたって、制作側が目指す「成功」とは何を指すのでしょうか。例えば、「制作費に対しどれほどのリターンが得られたか」といった投資対効果を計る考え方も、「原作となる漫画・ゲームなどの新規ファン層が開拓できたか」といった広告宣伝的な視点からの考え方も存在します。後者の場合、アニメ化自体での回収率は重視されず、コンテンツ人気の火種となれば十分に成功したとも捉えられるのです。

また、我々視聴者側が「その作品から離れるきっかけを生み出さないこと」も、ある意味では企画の成功を意味するでしょう。アニメ放映中、たびたび炎上の火種になるのが「作画崩壊」「超展開」などのスラングで形容される、クオリティ面の事故です。これが発生していない作品は、それだけである程度企画に成功している…と言えなくもありません。

もっとも、長年にわたって残り続け、商業的なリターンも生み出している作品は、どれも面白さや他に無い独特の魅力を秘めているものです。例えば、『てーきゅう』というショート枠の作品では、原作ストーリーを極端に圧縮したかのような作風を貫くことで、10シーズンにわたる放映を成功させました。

そして結果的に、原作や出版社の知名度向上や同タイトルのカルト的な人気を獲得するという、ある種の「成功」を成し遂げています。

画像: 長年残り続け商業的なリターンも生み出している作品として、『てーきゅう』が挙げられます。 twitter.com

長年残り続け商業的なリターンも生み出している作品として、『てーきゅう』が挙げられます。

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現在も残る「名作」の共通点

「配信の時代」には「記録」より「記憶」が重視される

では、今もなお語り継がれている名作の間には、どのような共通点があるのでしょうか?

商業的に大成功した例もあれば、小さい規模ながら確実な支持を集めたタイトルも存在するアニメ業界。その中では、とにかく「受け手に忘れられないこと」が重要なのかもしれません。

「忘れられないこと」というのは、「話題にのぼり続けられる」ということを意味します。かつては口コミや雑誌で、現代ではSNS上で交わされる会話や検索行動の中で、「その作品のタイトルが出ない」というのは、作品展開に大きなマイナスとなります。

以前ならDVD・ブルーレイディスクなどの販売枚数が、成否の基準として参考になりました。しかし、配信サービスが圧倒的に普及した昨今において、それは絶対的なものではありません。むしろ、「再生回数」「フォロワー数」などのステータスが重要視される時代になったと言えます。

前者の数値はあくまで「購入された数」という商業的な成果でしかないのですが、後者の数値は「興味を持った人の数」をより広く示します。熱心なファン以外に、いかに作品と「ゆるく」接する層がいるかどうか、そしてそのライト層が作品を楽しめるかが大切なのです。つまり、商業的な記録より人の記憶が重視される時代になった、とも言い換えられるでしょう。

過去タイトルを気軽にチェックできるようになった現代では、なおさら一過性の話題ではなく、「記憶に残り続けること」が作品の成否を分ける要素なのではないでしょうか。そうしてコンテンツの寿命を延ばすことが、結果的に商業的な記録を生み出すきっかけにもなり得ます。



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