今、ヘッドホンで最もホットなジャンルが「完全分離タイプ」だ。価格は1万円台が主流だが、価格帯は広がる傾向にある。本体とともに充電器兼用のケースも持ち運びが必須なので、ケースにも気を配って選びたい。ここでは、注目の11モデルの音質はもちろん、装着感や操作性、機能性をチェックした。

【プレーヤー】
Astell&Kern・SP1000(主にaptX再生)
アップル・iPhone6(主にAAC再生)
ソニー・NW-ZX300(主にLDAC再生)
【採点項目】
声の再現性:男性、女性の声の明瞭度、ニュアンス、ボディ感の再現性
帯域バランス:ベース、ピアノ、バイオリンと、各楽器のスケール感に着目
デザイン・装着感:実際に装着したときのデザイン性、バランス、安定感など
操作性:装着状態で音量の調整、曲再生などの操作のしやすさ
付加機能:コーデックの対応、NCの有無、アプリ連動機能など。

耳の内側に上向きに装着する。聴きやすさ重視の仕上がり

GLIDiC
TW-5000
実売価格例●9810円

丸みを帯びたかわいらしいデザインが特徴的で、装着は、耳の内側に上向きに収める。

AACの再生では、ワイドレンジをねらうのではなく、聴きやすさを重要視した仕上がり。低域がやや浅く、軽やかなタッチが特徴的だ。女性ボーカルでは高域の張りがやや耳障りに感じられたが、使い込んでいくうちに改善されると思われる。

本体背面の操作ボタンは大きめで、比較的扱いやすい。

●対応コーデック/AAC、SBC ●防水・防塵/─ ●連続再生時間/3.0時間

画像1: GLIDiC TW-5000 実売価格例●9810円
画像2: GLIDiC TW-5000 実売価格例●9810円

非対称デザインが印象的。帯域バランスが整い、声も艶っぽい

NUARL
NT-01
実売価格例●1万4440円

完全非対称の独自デザインが特徴的で、本体上部に操作ボタンを配置している。内部にはナノコーティングによる撥水処理が施され、IPX4相当の防水性能を備える。

AAC再生によるサウンドは、気張りがなく、穏やか。空間描写は比較的コンパクトだが、帯域バランスが整い、声のニュアンスも艶っぽい。本体ボタンによる操作は確実で、ペアリングもスムーズだった。

●対応コーデック/AAC、SBC ●防水・防塵/IPX4 ●連続再生時間/5.0時間

画像1: NUARL NT-01 実売価格例●1万4440円
画像2: NUARL NT-01 実売価格例●1万4440円

スリーブにより装着時は快適。ボーカル、楽器ともに質感が高い

パイオニア
SE-C8TW
実売価格例●1万3100円

パイオニア初の完全分離タイプ。全体をシリコン製スリーブで覆い、その表面に細かな凹凸を施すことで、しなやかなフィット感と、装着時の快適性を両立させている。

AAC再生による音質は、実に堂々として、ボーカル、楽器ともに質感が高い。低音は程良く締まり、バスドラム、ベースのリズム感が良好。完全ワイヤレスのハンデを感じさせない堂々としたサウンドだ。

●対応コーデック/AAC、SBC ●防水・防塵/─ ●連続再生時間/3.0時間

画像1: パイオニア SE-C8TW 実売価格例●1万3100円
画像2: パイオニア SE-C8TW 実売価格例●1万3100円

弾丸形のデザインが特徴。AAC再生は軽やかなタッチ

ERATO
VERSE
実売価格例●1万6070円

弾丸形のデザインなど、同社のヒットモデル、Apollo7の設計思想を受け継いでいる。

装着時は、耳からの出っ張りがやや気になるが、360度回転するイヤピースの恩恵もあって、安定感は上々。

AAC再生によるサウンドは、低域がやや浅く、軽やかなタッチで聴かせるタイプ。女性ボーカルはややスパイシーな質感が伴い、ニュアンスも淡白。充電ケースは小さく、ポケットに無理なく収まる。

●対応コーデック/AAC、SBC ●防水・防塵/IPX5 ●連続再生時間/3.0時間

画像1: ERATO VERSE 実売価格例●1万6070円
画像2: ERATO VERSE 実売価格例●1万6070円

装着すると、耳にフィットして安定。ベースがよく弾み、中低域に余裕あり

NuForce
BE Free8
実売価格例●1万8230円

高級オーディオ分野でも実績のあるアメリカのブランド、NuForce初の完全分離タイプイヤホン。

完全分離タイプとしてはやや大きめに感じられるが、実際に装着してみると、エルゴノミクスデザインにより、耳にフィットして、安定感も良好。音が途切れにくいNFMI(近距離磁気誘導)の採用に加え、IPX5準拠の防水対応も心強い。

AAC再生によるサウンドは中低域の描写にも余裕があり、ベースがよく弾み、ジャズトリオが楽しい。帯域バランスとしてはわずかにドンシャリの傾向だが、不自然さは感じない。

●対応コーデック/aptX LL、AAC、SBC ●防水・防塵/IPX5 ●連続再生時間/4.0時間

画像1: NuForce BE Free8 実売価格例●1万8230円
画像2: NuForce BE Free8 実売価格例●1万8230円

NC、防水、外音取り込みなど多機能。サウンドは全体のバランスが良好

ソニー
WF-SP700N
実売価格例●2万4710円

完全分離型ながら本格的なノイズキャンセリング(NC)機能を備えるWF-1000Xの弟機として登場した話題作だ。

そら豆を連想させるかわいらしいデザインが特徴的だが、NC機能に加え、外音取り込み機能やIPX4相当の防水性能を備えた本格派。スポーツ対応というにはやや大きめだが、装着時の収まりがよく、ホールド感は悪くない。

AAC再生によるサウンドは、低音はわずかにブースト感が伴うが、全体のバランスは良好。表現がオーバーにならず、音源の持ち味をすなおに描き上げるイメージだ。なお、ハイレゾ相当のLDACには非対応。

●対応コーデック/AAC、SBC ●防水・防塵/IPX4 ●連続再生時間/3.0時間

画像1: ソニー WF-SP700N 実売価格例●2万4710円
画像2: ソニー WF-SP700N 実売価格例●2万4710円

音声操作はSiri、Google、Alexaに対応。躍動感に富んだサウンド

Jabra
Elite 65t
実売価格例●2万4980円

業務用ヘッドセットでも知られるデンマークのブランド。NFMI(近距離磁気誘導)による安定した接続性、Siri、Google、Alexaに対応した音声アシスタント、IP55の防水・防塵など、かなり先進的。「4マイクテクノロジー」により、風切り音など通話中のノイズも低減する。

AAC再生のサウンドは無理のない穏やかな聴かせ方で、空間描写も大らか。分解能は中庸だが、躍動感に富んだ明るいサウンドはなかなか魅力的だ。

また、専用アプリにより、音声アシスタントの選択や、周辺ノイズの音量調整など、細かいカスタマイズが可能。

●対応コーデック/AAC、SBC ●防水・防塵/IP55 ●連続再生時間/5.0時間

画像1: Jabra Elite 65t 実売価格例●2万4980円
画像2: Jabra Elite 65t 実売価格例●2万4980円

単体でプレーヤーとして使用可能。聴きやすさを大切にした音作り

Galaxy
Gear IconX
実売価格例●2万6870円

サムスンのモバイル製品向けブランド、Galaxyのイヤホン。最大1000曲前後の音楽を単体で再生できるほか、タッチ操作に対応する先進的なモデル。

ランニング時のペースをアドバイスしてくれるコーチングプログラムを備え、専用アプリ(Android用のみ)を入れたスマホとの組み合わせでは、活動記録が残せる。

ブルートゥース伝送は、Galaxyシリーズのスマホを除きSBC再生となるが、総じて明瞭度、聴きやすさを大切にした音作りで、やや線が細い。ジャズトリオはベースのグルーブ感がもう少し欲しいと感じるが、華やかなシンバルは悪くない。

●対応コーデック/Samsung Scalable、SBC ●防水・防塵/─ ●連続再生時間/5.0時間(単体6.0時間)

画像1: Galaxy Gear IconX 実売価格例●2万6870円
画像2: Galaxy Gear IconX 実売価格例●2万6870円

独自のチップで装着時の安定感が良好。量感豊かな低音が持ち味

ボーズ
SoundSport Free wireless headphones
実売価格例●2万9160円

スポーツユースをターゲットに開発されたボーズ初の完全分離タイプ。IPX4の防水にも対応。

本体はやや大きめだが、独自の「Stay Hear+Sport」チップのフィット感は良好だ。耳の凹凸に固定されるイヤフックの効果は大きく、ウオーキングや軽いジョギングでも、安定感が損なわれない。

iPhoneとの組み合わせで聴くサウンドは、量感豊かな充実した低音が持ち味。空間はコンパクトだが、ベースとバスドラムがグングンと前に迫り出すジャズトリオは楽しい。専用アプリを使えば、本体を紛失しても追跡することが可能。

●対応コーデック/非公表 ●防水・防塵/IPX4 ●連続再生時間/5.0時間

画像1: ボーズ SoundSport Free wireless headphones 実売価格例●2万9160円
画像2: ボーズ SoundSport Free wireless headphones 実売価格例●2万9160円

音切れがなく、左右の区別なく装着可能。歯切れよさで楽しませるサウンド

EARIN
M-2
実売価格例●3万750円

完全分離イヤホンの先駆者、EARIN(イヤイン)の血統を受け継いた最新作だ。

左右イヤホン間の伝送をNFMI(近距離磁気誘導)で行うことで、音切れの問題を解消。さらに、どちらのイヤホンを装着しても左右の耳を判別したり、外部の音を取り込んだりする機能も備える。IP52の防滴・防塵機能にも対応。

サウンドは、無理にダイナミックレンジを求めるのではなく、音のレスポンス、 歯切れのよさで楽しませるタイプ。高級感のあるスティック型ケースのスライド式開閉機構には、磁石が組み込まれ、開閉時の確実性を高めている。

●対応コーデック/aptX、AAC、SBC ●防水・防塵/IP52 ●連続再生時間/4.0時間

画像1: EARIN M-2 実売価格例●3万750円
画像2: EARIN M-2 実売価格例●3万750円

単体プレーヤーとして使え、ジェスチャー操作も可能な超多機能モデル

BRAGI
The Dash Pro
実売価格例●3万6890円

単体でもプレーヤーとして動作するほか、NFMI(近距離磁気誘導)やタッチ操作にも対応する多機能モデル。

本体にジャイロ・加速度センサーを搭載し、うなずいたり、左右に振ったりと、頭の動作(ジェスチャー)によるハンズフリー操作を実現。専用アプリとの連係で心拍数をモニタリングしたり、運動時間、歩数から消費カロリーを導き出したりといった、高度な使いこなしが可能だ。

AAC再生によるサウンドは、飾り気がなくフレッシュ。声の明瞭度は良好だが、ニュアンスは淡白。IPX7の本格的な防水機能にも対応。

●対応コーデック/AAC、SBC ●防水・防塵/IPX7 ●連続再生時間/5.0時間

画像1: BRAGI The Dash Pro 実売価格例●3万6890円
画像2: BRAGI The Dash Pro 実売価格例●3万6890円

【まとめ】
勢いのあるサウンドのパイオニア。響きに厚みがあるボーズが続く

デザイン、操作性、機能性と、個性あふれる魅力的なモデルがひしめく完全分離イヤホン。特に、ユーザーの関心が高く、伸びているジャンルだけに、買い得感のあるモデルが少なくない。

その激戦の中、ひときわ存在感を放ったのがパイオニアだ。表面に細かなディンプルを形成したデザインも魅力的で、何より音のよさが際立った。完全分離タイプの場合、左右間の伝送による音質ロスが問題になりやすいが、勢いのあるサウンドは、そんな不安を微塵も感じさせない。

続いて、音源の持ち味を引き出すソニー、厚みのある響きで聴かせるボーズ、そして雄大な空間が心地いいJabraの3モデルにも注目。中でも、製品としての完成度の高さでボーズが頭一つ、抜け出している印象だ。

画像: パイオニア・SE-C8TW

パイオニア・SE-C8TW

画像: ボーズ・SoundSport Free wireless headphones

ボーズ・SoundSport Free wireless headphones

解説/藤原陽祐 (AV評論家)

※価格は記事制作時のものです。

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