4Kテレビの主戦場ともいえる55V型クラス。液晶/有機ELを問わず、ほとんどのメーカーが主力機を投じており、競争の原理もあって、出荷台数が限定される60V型以上のモデルに比べると、割安感がある。ここで注目されるのは、有機ELテレビだ。液晶との価格差は着実に縮まり、もはや高嶺の花ではなくなった。

激戦必至! 売れ筋クラスのベストは?

4K8K衛星放送がスタートして7ヵ月余り。4K/8K制作が大半を占めるNHKでは、連日、独自の番組編成で魅力的なコンテンツを精力的にオンエア中。民放でも、スポーツ中継の4K制作を開始するなど、番組内容が充実してきている。

4Kテレビの人気も高い。ソニーとパナソニックの主力機が4Kチューナーを内蔵したことで、にわかに世間の関心が高まり、順調に売り上げを伸ばしている。

今回は、4Kチューナー内蔵機の中から市場で注目度の高い製品を計19機種ピックアップし、43V~50V型、55V型、60V~65V型と画面サイズで3クラスに分け、画質、音質、操作性などを検証し、採点・評価している。

今回の採点項目について

地デジ画質
4K放送画質
音質
ネット対応
操作性

各々の製品の採点は、左の5項目で行った。
「地デジ画質」は、HD(ハイビジョン)映像を4Kにアップコンバートした画質、「4K放送画質」は4K衛星放送の画質、「音質」は内蔵スピーカーの音質、「ネット対応」は4Kネット動画などの対応度、「操作性」はリモコン操作のしやすさを評価の対象としている。

この記事では売れ筋クラスといわれる55V型の7機種を、5項目各5点満点で評価。

この夏、4Kチューナー内蔵テレビの購入を計画している方は、この結果を踏まえて、自分にとってのベスト機を見つけていただきたい。

画像: 激戦必至! 売れ筋クラスのベストは?
  • LG OLED55C9PJA
  • ソニー KJ-55X8550G
  • 東芝 55Z730X
  • 東芝 55X930
  • ハイセンス 55E8000
  • パナソニック TH-55GX850
  • パナソニック TH-55GZ1000

LG
OLED55C9PJA

・実売価格例:29万9160円
・発売年月:2019年4月

画像: ●HDMI入力×4●年間消費電力量/209kWh●サイズ/幅122.8㎝×高さ73.8㎝×奥行き25.1㎝(スタンド含む)●重量/23㎏(スタンド含む)

●HDMI入力×4●年間消費電力量/209kWh●サイズ/幅122.8㎝×高さ73.8㎝×奥行き25.1㎝(スタンド含む)●重量/23㎏(スタンド含む)

55V型/有機EL

搭載チューナー
BS/110度CS4K×1
地デジ×3
BS/110度CS×3

4Kネット動画
YouTube
アクトビラ
Netflix
Amazon

【採点】

地デジ画質3.5
4K放送画質4.5
音質4
ネット対応4.5
操作性4
各5点満点

4Kは階調を重視した柔らかなタッチ。地デジ画質は改善したい

この春、LGは4シリーズ計9機種の有機ELテレビを発表したが、全機種、4Kチューナー搭載となった。充実したラインアップだが、画質重視なら最新の映像エンジン、α9 Gen2を搭載したC9Pシリーズが、がぜんクローズアップされる。

α9 Gen2は昨年実用化されたα9をベースに、その持ち味をより積極的に引き出したもの。特に、モスキート/ブロックなどの圧縮ノイズや、暗部階調が階段状に見えるバンディングノイズなどの対策が徹底され、S/N改善の効果も大きい。

4K画質は力みのない繊細なタッチで、階調性を重視した柔らかな画調が特徴的だ。有機ELの場合、滑らかなグラデーションの表現が難しいが、今回はきめ細かなタッチで階調の推移を緻密に描き上げていく。地デジは全体のフォーカスをさらに高め、輪郭のキレを改善したい。ただ、総合的なテレビとしての表現力は高い。

ソニー
KJ-55X8550G

・実売価格例:21万4670円 
・発売年月:2019年6月

画像: ●HDMI入力×4●年間消費電力量/164kWh●サイズ/幅111.2㎝×高さ69.3㎝×奥行き23.5㎝(スタンド含む)●重量/11.7㎏(スタンド含む)

●HDMI入力×4●年間消費電力量/164kWh●サイズ/幅111.2㎝×高さ69.3㎝×奥行き23.5㎝(スタンド含む)●重量/11.7㎏(スタンド含む)

55V型/液晶(VA)

搭載チューナー
BS/110度CS4K×2
地デジ×2
BS/110度CS×2

4Kネット動画
YouTube
Netflix
Amazon

【採点】

地デジ画質3
4K放送画質4
音質4
ネット対応4
操作性3.5
各5点満点

新機能搭載で音声再生が自然。画質は4Kと地デジの差が大きい

ブラビアのエントリー機となる4Kチューナー(2基)内蔵モデル。VA液晶の倍速駆動で、LEDによる部分駆動はない。兄弟機であるX8500Gとの最大の違いは、仮想的に画面内に音像を定位させるアコースティックマルチオーディオを採用していること。

これは、画面下のフルレンジスピーカーに加え、背面上部に専用ツイーターを搭載し、音の定位感をリフトアップさせるもの。ツイーター音像が引き上げられることで、音が画面下から聴こえる違和感が軽減され、自然な広がりが得られる。音質的には中低域の厚みを加えたいが、人の声が聴きやすいというメリットは大きい。年内バージョンアップ予定のドルビーアトモス再生も期待できる。
黒の締まりは中庸。明るく、メリハリ調の仕上がりで、華のある色再現も見ごたえがある。問題は、4Kと地デジの画質差が大きいこと。地デジは輪郭が太く、ディテールの情報が埋もれがち。

東芝
55Z730X

画像: ●HDMI入力×4●年間消費電力量/199kWh●サイズ/幅124.2㎝×高さ78.2㎝×奥行き23.5㎝(スタンド含む)●重量/19.5㎏(スタンド含む)

●HDMI入力×4●年間消費電力量/199kWh●サイズ/幅124.2㎝×高さ78.2㎝×奥行き23.5㎝(スタンド含む)●重量/19.5㎏(スタンド含む)

55V型/液晶(IPS)

搭載チューナー
BS/110度CS4K×2
地デジ×9
BS/110度CS×3

4Kネット動画
YouTube
アクトビラ
Netflix

【採点】

地デジ画質4
4K放送画質4
音質4
ネット対応4
操作性4
各5点満点

IPS液晶を生かした緻密な描写。ノイズもうまく抑えている

4Kチューナーを2基内蔵。IPS液晶(倍速駆動)で、パネル直下のLEDによる部分駆動も搭載。映像エンジンは、AI超解像対応レグザエンジンProfessionalに進化している。

機能面では、4Kダブルチューナーによる裏録、BS/110度CS/地デジのダブル録画に対応。さらに、放送済みの番組を過去番組表から楽しめるタイムシフトマシン(地デジ最大6チャンネルまで)も楽しめる。総合80ワットのアンプを投じた、バズーカスピーカーの搭載も見逃せない。

IPS液晶ならではの豊かな階調性を生かした、力みのない緻密な描写が特徴的だ。部分駆動でコントラスト改善を図っているが、IpS液晶の限界か、黒の締まりについては弱め。4K、地デジを問わず、ディテール、階調性、輪郭と、細部の描き分けが丁寧で、動画の目障りなノイズもうまく抑えている。どっしりとした厚みのあるバズーカサウンドも魅力だ。

東芝
55X930

・実売価格例:37万7870円 
・発売年月:2019年7月

画像: ●HDMI入力×7●年間消費電力量/203kWh●サイズ/幅122.6㎝×高さ72.2㎝×奥行き25.1㎝(スタンド含む)●重量/37.5㎏(スタンド含む)

●HDMI入力×7●年間消費電力量/203kWh●サイズ/幅122.6㎝×高さ72.2㎝×奥行き25.1㎝(スタンド含む)●重量/37.5㎏(スタンド含む)

55V型/有機EL

搭載チューナー
BS/110度CS4K×2
地デジ×9
BS/110度CS×3

4Kネット動画
YouTube
アクトビラ
Netflix

【採点】

地デジ画質4.5
4K放送画質4.5
音質4
ネット対応4
操作性4
各5点満点

最先端の画像処理技術で、4Kは品位が高く、地デジも緻密で繊細

4Kチューナー搭載の有機ELレグザ第2弾。人気のタイムシフトマシンを備えたX930と、シンプルに画質を追求したX830の2ラインで、画面サイズはいずれも55V型と65V型。

4Kチューナー2基の搭載に加え、スピーカーシステムを強化しているが、最大の注目点は、レグザエンジンProfessionalの投入にある。これは、深層学習などのAI(人工知能)を取り入れた最先端の画像処理技術で、地デジ&4Kの放送画質の改善に向けた新たな超解像処理を盛り込んでいる。

その映像は、実に堂々とした深みのある再現性で、輪郭のキレ、滑らかなグラデーションには目をみはるものがある。4K映像は輪郭強調を感じさせない品位の高さで、人肌、髪の毛、洋服の生地と、ディテールの描き分けが巧妙。色純度も高く、艶っぽさ、質感の高さが際立つ。地デジも緻密で繊細。ノイズの多い素材でも破綻がない。

ハイセンス
55E8000

実売価格例:21万3840円 
発売年月:2019年4月

画像: ●HDMI入力×4●年間消費電力量/非公表●サイズ/幅122.6㎝×高さ75.4㎝×奥行き27.2㎝(スタンド含む)●重量/22.7㎏(スタンド含む)

●HDMI入力×4●年間消費電力量/非公表●サイズ/幅122.6㎝×高さ75.4㎝×奥行き27.2㎝(スタンド含む)●重量/22.7㎏(スタンド含む)

55V型/有機EL

搭載チューナー
BS/110度CS4K×1
地デジ×3
BS/110度CS×3

4Kネット動画
YouTube
アクトビラ
Netflix

【採点】

地デジ画質4
4K放送画質4
音質3.5
ネット対応4
操作性3.5
各5点満点

4K映像は明るく華やか。地デジはレグザの血統を感じる再現性

東芝のテレビ事業を傘下に収めたハイセンスが手がけた初の有機ELテレビ。パネルは他社同様、LGディスプレイ社製。映像エンジンには東芝レグザの有機ELテレビ(旧モデル)でも実績のあるレグザエンジンNEO plusを投じている。チューナーについては4Kが1基、地デジ/BS/110度CSが3基という構成。

基本的には、レグザがベースになっているものと思われるが、タイムシフトマシンはなしで、解像度やピーク輝度など表示映像の細かなデータが掌握できるダイナミックメタデータ表示もできない。

4K映像は高コントラストパネルの持ち味を生かしたメリハリの利いた見せ方だが、極端な味つけはなく、明るく、華やかな雰囲気に仕上げている。人肌の表現はややプレーンな印象で、特にハイライトの色調、階調の描写が甘い。地デジは輪郭がすっきりして、見た目のS/N感も良好。レグザの血統を感じさせる再現性だ。

パナソニック
TH-55GX850

・実売価格例:22万4180円 
・発売年月:2019年1月

画像: ●HDMI入力×4●年間消費電力量/136kWh●サイズ/幅123.5㎝×高さ77㎝×奥行き24.8㎝(スタンド含む)●重量/24㎏(スタンド含む)

●HDMI入力×4●年間消費電力量/136kWh●サイズ/幅123.5㎝×高さ77㎝×奥行き24.8㎝(スタンド含む)●重量/24㎏(スタンド含む)

55V型/液晶(IPS)

搭載チューナー
BS/110度CS4K×2
地デジ×3
BS/110度CS×3

4Kネット動画
YouTube
Netflix
Amazon

【採点】

地デジ画質3.5
4K放送画質4
音質3.5
ネット対応4
操作性4
各5点満点

4Kはフォーカスが鋭い。地デジは好バランスだが、画質は平均的

ビエラとして初めて4Kチューナーを内蔵。液晶は倍速仕様のIPSパネル。広色域のLEDバックライトはエッジ配置だが、画像に合わせてLED照度をユニット単位で制御する部分駆動により、コントラスト不足を補う。設置面では、地震などで揺れたとき、テレビ台に吸着して倒れにくくする転倒防止スタンド搭載を備える。

画像処理では忠実な色再現を追求した「ヘキサクロマドライブ」を搭載。これは明るさによって色調が変わってしまうという液晶の癖を補正する技術で、3次元カラーマネジメント回路との合わせ技で、明部、暗部を問わず、自然な発色を約束する。

4K放送は見た目のフォーカスが鋭く、輪郭の品位も高い。人肌はやや黄に傾く傾向だが、肌の凹凸は単調にならず、微妙なグラデーションを丁寧に描き分ける。地デジは解像度とS/Nをバランスさせて、無理なく見せる。2K→4K変換の実力は平均的レベル。

パナソニック
TH-55GZ1000

・実売価格例:31万3070円 
・発売年月:2019年7月

画像: ●HDMI入力×4●年間消費電力量/173kWh●サイズ/幅122.8㎝×高さ774㎝×奥行き30㎝(スタンド含む)●重量/27.5㎏(スタンド含む)

●HDMI入力×4●年間消費電力量/173kWh●サイズ/幅122.8㎝×高さ774㎝×奥行き30㎝(スタンド含む)●重量/27.5㎏(スタンド含む)

55V型/有機EL

搭載チューナー
BS/110度CS4K×2
地デジ×3
BS/110度CS×3

4Kネット動画
YouTube
Netflix
Amazon

【採点】

地デジ画質3.5
4K放送画質4.5
音質3.5
ネット対応4
操作性4
各5点満点

HDRは4方式にフル対応。4Kはナチュラル、地デジは描写が甘い

この春、ビエラは一気に3ラインの有機ELテレビを発表。いずれも4Kチューナー2基内蔵で、HDRはHDR10、HDR10+、HLG、ドルビービジョンとフル対応。本機はエントリーラインだが、上級機のGZ1800との違いは主に音質面で、基本画質は同等と考えていい(最高峰のGZ2000はパネルが異なる)。

画像処理はヘキサクロマドライブPLUS。これは従来から採用されている技術だが、パネルとの合わせ込みが進み、すべての輝度領域で理想となる色との誤差を低減、色忠実再現のレベルに磨きがかかったという。

実際、有機ELならではの力強いタッチの再現性で、暗部、明部を問わず、色もしっかりと乗せている。4Kはコントラスト感を強調する感じはなく、色調もナチュラル。極端な味つけもなしで、明るく、楽しい雰囲気。地デジについては輪郭が太く、微小な信号の描写が甘い。

まとめ

LG、東芝などの有機ELモデルの優位性は明らか。HD映像の表現力で東芝がベスト機

4Kテレビの主戦場ともいえる55V型クラス。従来、一般家庭に入る最大サイズという捉え方だったが、狭ベゼルデザインの浸透により、従来の50V型前後のモデルとの入れ替えが可能となり、市場での注目度も高い。実際、液晶/有機ELを問わず、ほとんどのメーカーが主力機を投じており、競争の原理もあって、出荷台数が限定される60V型以上のモデルに比べると、割安感がある。ここで注目されるのは、やはり黒が締まり、視野角の影響をほとんど受けない有機ELテレビだ。液晶との価格差は着実に縮まり、もはや高嶺の花ではなくなった。暗部の再現性に不満が残るなどの負の要素もほぼ払拭され、テレビとしての完成度も飛躍的に向上している。

今回の機種の中でも、LG、東芝、ハイセンス、パナソニックと、有機ELの画質面の優位性は明らかだった。LG・55C9PJA、東芝・55X930、パナソニック・TH─55GZ1000の3機種の実力は拮抗していたが、地デジに代表されるHD映像の表現力で、やはり東芝が群を抜く。価格まで考慮するとLGも魅力的だ。

超解像処理で地デジも4Kも高画質!

東芝
55X930

地デジ/BS/BS4Kと、放送画質の改善に向けたAI超解像処理を採用するレグザの最高峰。24時間録画できるタイムシフトマシンも健在。

解説/藤原陽祐(AV評論家)

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