低迷していたインスタント写真が再び人気爆発!富士フイルムのinstax/チェキの魅力とは?【キーパーソンに訊け!】

文具・ホビー・カメラ

「チェキ」の愛称で知られる富士フイルムのインスタントカメラ「instax」シリーズ。1998年に初代機が発売されるとヒットを記録。その後、しばらく販売が低迷したものの、ここ数年は爆発的な成長を見せている製品だ。若者から中高年層まで幅広い世代から人気を集めている理由は何なのか、商品企画の担当者に訊いた。

instax/チェキ
富士フイルム

富士フイルム株式会社 イメージング事業部 インスタント事業グループ 梨本裕介さん

デジタルデータでは得られない”現物感”がチェキの魅力です

かつては新モデルが出ない時期もあった

愛称「チェキ」で知られる富士フイルムのインスタントカメラ「instax」シリーズが人気だ。

2016年の全世界での販売台数は、シリーズ全体で約660万台。2017年の目標は750万台。日本国内におけるデジタルカメラ全体の出荷台数が約2400万台(カメラ映像機器工業会調べ、2016年実績)という数字からも、その人気の規模感が実感できるだろう。

「撮ったその場ですぐプリントし、文字などを書き込んで、そのまま手渡しできるのがチェキの魅力です。また、フィルムならではのアナログ感が、銀塩写真を知る世代には懐かしく、それより若い世代には新鮮に感じられるということで、幅広い世代のユーザーさんから支持されているのも特徴です」

こう話すのは、チェキの商品企画を担当する梨本裕介さん。

今回、梨本さんから話を聞いて筆者は初めて知ったのだが、現在は絶好調のチェキも販売が低迷した時期があったのだという。

チェキのシリーズ初代機である「instax mini 10」の発売は、1998年。撮影してすぐにプリントできる手軽さが人気を呼び、ヒット商品となった。後継モデルも続々と発売され、その勢いは2002年まで継続。この年には約100万台を販売している。

しかし、その翌年からは流れが変わり、販売台数は約40万台へと減少。2004〜2006年には、販売台数は約10万台前後にまで落ちてしまった。

この背景には、カメラ付き携帯電話の普及(「写メール」という言葉が生まれたのは2001年)や、デジタルカメラの高性能化・高機能化がある。

読者の中には、あの時代にあったワクワク感を覚えている人もいるはずだ。急速なデジタル化の高揚感によって、チェキのアナログな魅力が脇に追いやられてしまった形といえるだろう。

「販売低迷を受けて、2006〜2011年には新モデルを発売していません。しかし、2007年に韓国のテレビドラマで小道具として使われたことがきっかけとなって、東アジアを中心に認知度が高まり、販売台数もじわじわと回復。2012年の『instax mini 8』の発売からは飛躍的に伸び続けており、現在は富士フイルムのビジネスの大きな柱の一つになっています」

instax mini8+
実売価格例:7970円

女子中高生などをターゲットにしたカジュアルなベーシックモデル。自撮りをするときに便利なレンズ横のセルフショットミラーや、35センチまで近づいて撮れる接写レンズアダプターが便利。

フィルムがそのままプリントになるというインスタント写真独特の存在感と風合いは、壁に貼るだけでも味のあるディスプレイになる。ガラス瓶の中に入れて飾ったり、左の風鈴のようにクラフトにしてみるのもおもしろい。

instax mini 90 ネオクラシック
実売価格例:1万6850円

大人のカメラファンに向けたクラシカルなモデル。光量を細かくコントロールできる高性能フラッシュや、バルブ、二重露光、ハイキー/ローキーなど、光を操る楽しみが味わえる。

実際に風景の中にチェキで撮った写真を置いて撮影した写真を、「インスタグラム」などのSNSにアップする”フォトインフォト”も、流行中だ。

instax WIDE 300
実売価格例:1万1850円

通常のチェキプリントの倍のサイズとなるチェキWIDEフィルムで撮影ができるモデル。大判なので、大人数のパーティ写真はもちろん、自然風景などの作品撮りにも使える。

チェキWIDEフィルム(86ミリ×108ミリ)は、通常のチェキフィルム(86ミリ×54ミリ)フィルムの倍の面積。大人数の集合写真でも人の表情がわかりやすい。

シリーズ初のスクエアフォーマットも採用

チェキのV字回復は、ターゲットユーザーを明確にしたモデル展開と、利用シーンをイメージさせるマーケティングを徹底した結果でもある。

例えば、instax mini 8では、広告で「世界で一番“カワイイ”インスタントカメラ!」というキャッチフレーズを採用。現行モデル「instax mini 8+」でもそれを継承し、中高生や大学生を中心にした女性ユーザーから人気を集めている。

「instax mini 8+は、スイーツをイメージしたカラーを採用したほか、セルフィー撮影時に便利なミラーをレンズ横に付けたり、画面全体を明るくできるハイキーモードを搭載するなどの工夫も盛り込みました。友達どうしで撮影し、メッセージを書き込んで渡すなど、日常生活に溶け込んだ使われ方がされているようです」

一方、クラシックな外観が特徴的な「instax mini 90 ネオクラシック」というモデルもある。こちらは、写真やカメラ本体に対してこだわりを持つ男性ユーザーをターゲットにしているという。

「メインユーザー層は、デザイン性や機能性を求める写真愛好家のみなさんです。接写モードや二重露光モードなどを搭載して多彩な撮影が楽しめるようにしたほか、ダイヤルによる操作性などにも配慮しました」

今年5月に発売された「instax SQUARE SQ10」では、62ミリ×62ミリというシリーズ初のスクエアフォーマットの採用と、デジタルとの融合という進化が話題になった。

「スクエアフォーマットはアート性が高く、どんな構図でも決まるというのが魅力です。また、デジタルとのハイブリッドにしたことで、10種類のフィルターなど、画像エフェクトも楽しめるようになりました。プロカメラマンさんがサブ機として使ってくれているケースも多いと聞いています」

instax SQUARE SQ10
実売想定価格:2万7010円

1/4型撮像センサーを搭載したスクエアフォーマットモデル。撮影した画像をいったんメモリーに保存し、気に入ったものだけをプリントすることができる。新機能を盛り込んだホワイトモデル(下写真)がラインアップに加わっている。

10種類のフィルターなど、エフェクトをかけたうえでプリントが可能。新たにパートカラー機能も追加された。

スクエアフォーマットタイプのスマホ用プリンター「instax SHARE SP-3」(実売価格例:2万2430円)も登場している。

“現物感”が人間の根幹的な部分に響く

チェキの復活は、若い世代による新しい文化も生んでいる。

チェキで撮った写真をさらにスマホカメラやデジカメで撮影する“フォトインフォト”が、「インスタグラム」や「フェイスブック」などのSNSで流行しているのだ。

「チェキというアナログな製品が、SNSというデジタルサービスとなじむ事態はあまり想定してませんでした。誰かが新しいことを始めたら、一気に世界中に広がるのはSNS時代ならではのことだと感じています」

チェキで使用するフィルムは、細かな改良は加えられているものの、画質などの面でこれまでに大きく進化しているわけではない。ということは、ユーザーはそれ以外の部分に魅力を感じているということになる。

「チェキには、デジタルデータでは得られない”現物感”があり、それに魅力を感じるのは人間の根幹的な部分だと思います。特に、生まれたときからデジタルに囲まれている世代には、現物感は新鮮に受け止められているのではないでしょうか」

富士フイルムには、レンズ付きフィルムの「写ルンです」という製品もあるが、こちらもここ最近、復活してブームとなっている。

また、レコードやカセットテープが見直されるなど、世間ではアナログ回帰の傾向が顕著だ。

デジタル一辺倒の時代に、アナログへの反動が生まれているのは興味深い。今後も、こうした新しい文化が生まれることを期待したい。

Memo
本体前面の中央付近に大きなレンズを据えるというのが、チェキシリーズ共通のデザインコンセプト。愛らしくインパクトのあるデザインも、ユーザーからの支持に貢献している。

SPECIFICATION
【“チェキスクエア” instax SQUARE SQ10】
●撮像素子/1/4型CMOS●記録解像度/1920ドット×1920ドット●記録枚数/内蔵メモリー:約50枚、microSD/microSDHCカード:1GB当たり約1000枚●撮影距離/10cm〜∞●撮影感度/ISO100〜1600●焦点距離/28.5mm固定(35mmフィルム換算)●絞り/F2.4●モニター/3型46万ドット●使用フィルム/富士フイルム インスタントフィルム instax SQUARE(10枚/パック)●画面サイズ/62mm×62mm●プリント画素数/800ドット×800ドット●サイズ・重量/幅119mm×高さ127mm×奥行き47mm・450g(フィルム、バッテリー含む)

インタビュー、執筆/加藤肇(フリーライター)

※表示の価格は、記事制作時のものです。

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特選街web編集部

1979年に創刊された老舗商品情報誌「特選街」(マキノ出版)を起源とし、のちにウェブマガジン「特選街web」として生活に役立つ商品情報を発信。2023年6月よりブティック社が運営を引き継ぎ、同年7月に新編集部でリスタート。

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