光回線のサービスは、日々進化している。ここでは速度アップやコストダウンのポイントを解説しよう。ネットが遅い原因を調べる方法や通信方式の変更で「遅さ」を解消できるかもしれない。
Googleで簡単に調べられる!
ネットが遅い原因はいろいろ。まずは回線速度を測定してみよう
ネットが遅いと感じたら、速度を測定することで原因を特定できる。計測にはGoogleの「インターネット速度測定」を利用し、Wi-Fi接続と有線接続の両方で行おう。
有線接続時は、パソコンとホームゲートウェイもしくはONU(光回線終端装置)をLANケーブルで直結して行う。測定の結果、下りで100Mbpsあれば十分な速さだ。
●Googleの速度測定サービスで計測
ブラウザーで「インターネット速度」と検索し、検索結果のいちばん上に表示された「速度テストを実行」をクリックして測定する。

Wi-Fiだけが遅い場合は、Wi-Fiルーターやパソコン内蔵のWi-Fiの原因が考えられる。規格が古いなら、できれば最新のWi-Fi6対応製品への買い替えなどを検討したい。
●Wi-Fi6対応ルーターへの買い替えを検討
Wi-Fiルーターの規格が古い場合は、Wi-Fi6対応製品への買い替えがおすすめ。こちらは、複数台の子機を同時接続しても安定した通信が可能。
NEC
Aterm WX3000HP
実売価格例:1万4080円

一方、有線接続でも遅いなら、接続しているLANケーブルの規格をチェック。「CAT6A」以上のケーブルに取り替えよう。それでも改善しない場合は、回線自体に原因がある可能性が高い。回線プランを確認し、より高速なコースへの変更を検討したい。
●回線自体が遅いなら乗り替える手も
回線プランがそもそも遅いなら、乗り替えも検討しよう。最近は、「フレッツ光クロス」などの最大速度10Gbpsの光回線も登場。

夜間など混雑時間帯だけ速度が下がるなら、最新の通信方式「IPv6 IPoE」で速度が安定する場合がある。プロバイダーが対応しているか確認してみてほしい。
●混雑時のみ遅い場合は「IPv6 IPoE」で改善
大手プロバイダーの多くが、「IPv6 IPoE」に対応。対応ルーターなどが必要だが、この通信方式に切り替えれば混雑を回避できる。

通信方式の変更で「遅さ」を解消できるかも
IPoE接続で混雑解消!フレッツユーザーは特に注意!
NTTのフレッツ光(光コラボも含む)の多くのユーザーが悩まされているのが、夜間や週末の速度低下。これは、その時間帯にネット利用者が増え、「輻輳(ふくそう)」と呼ばれる渋滞が起こるのが原因だ。
フレッツ光では、「PPPoE」という接続方式が使われており、この際に経由する「網終端装置」が混雑の要因となっている。一方、プロバイダーの一部では「IPoE」という新しい接続方式も提供しており、こちらは網終端装置がないため混雑しにくい。つまり、IPoEで接続すれば、混雑を回避して速度低下を防げるわけだ。
●接続方式と速度の関係
よく誤解されるが、IPv6だから速いわけではない。IPv6でもPPPoEで接続していれば混雑は回避できない。
接続方式 | |||
PPPoE | IPoE | ||
接続できるサイト | IPv4/IPv6 | IPv6のみ | |
混雑時の速度 | 低下 | 安定 |
ただし、接続方式によって、情報をやり取りする仕組みである「IP」(インターネットプロトコル)に違いが出てくる。PPPoEでは、古くから使われている「IPv4」と新しい「IPv6」の両方のサイトの表示が可能。
●IPoEの弱点をクリアする「IPv4 over IPv6」
IPv4 over IPv6では、IPv4のパケットをあたかもIPv6であるかのように見せかけることで、IPoE接続のまま通信できる。

しかし、IPoEではIPv6しか扱えず、IPv4のサイトは表示できない。IPoE接続に対応するプロバイダーの中には、IPv4にアクセスするときのみPPPoEを利用するところもあるが、それでは混雑が回避できない。
そこで最近普及し始めたのが、「IPv4 over IPv6」という技術。IPoE接続のままIPv4も扱えるため、速度が低下しないのがメリットだ。IPv4 over IPv6は、大手プロバイダーの多くで無料オプションとして提供されている。利用しているプロバイダーが対応しているか確認し、乗り替えも含めて検討してみてほしい。
●「IPv4 over IPv6」に対応する主要プロバイダー
プロバイダー | サービス名 | 採用方式 | 月額料金 |
OCN | IPoEインターネット 接続機能 |
OCNバーチャル コネクト |
無料 |
BIGLOBE | IPv6オプション | IPv6オプション | 無料 |
So-net | v6プラス | v6プラス | 無料 |
ぷらら | ぷららv6 エクスプレス |
OCNバーチャル コネクト |
無料 |
Yahoo! BB | IPv6高速ハイブリッド IPv6 IPoE+IPv4 |
IPv6 IPoE+IPv4 ハイブリッドサービス |
467円(税別)※ |
アットニフティ | v6プラス | v6プラス | 無料 |
DTI | IPv6(IPoE) 接続サービス |
v6プラス | 無料 |
●「IPv4 over IPv6」対応ルーターがプロバイダーによって異なる
大手プロバイダーの多くが、「IPv4 over IPv6」に対応し、この通信方式に切り替えれば混雑を回避できる。

(画面はOCNの対応ルーターの一覧表)
ただし、プロバイダーによってIPv4 over IPv6の方式が異なり、導入には対応ルーターが必要になる場合があるので注意しよう。
※価格は記事作成当時のものです。
■解説/宮下由多加(ITライター)