筋トレは難しくありません。極めてシンプルな運動です。具体的には、筋トレは、週1回程度。各種目は、それぞれ30秒でいい。やることは、これだけです。ただし、その筋トレは、多少なりともキツイ運動になります。キツイですが、30秒ですむ運動なので、たいていの人ががんばれます。すると、どうなるか。めきめき筋肉がついてきます。効率的に強くなれます。たとえ、あなたが50歳を超えていても、いや、それ以上のご高齢でも。70歳でも、80歳でも。続ければ、筋肉がつく以外にも、そのほかもろもろの効果が上がってきます。【解説】小島央(央整形外科院長)

執筆者のプロフィール

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小島 央(こじま・ひさし)

央整形外科院長。整形外科医。日本体育協会公認スポーツドクター。e-クリニックスタッフ医師。2007年に、京都府ボディビル選手権にてベストルーキー賞を獲得。筋肉ドクターの愛称で親しまれている。2009年にアイアンクリニック零号店、2014年11月に央整形外科&フィットネスジム・アイアンクリニックを開業。著書に『ひざ・股関節の痛みは週1スクワットで治せる!』(マキノ出版)がある。
▼央整形外科(公式サイト)
▼専門分野と研究論文(CiNii)

本稿は『ざんねんな筋トレ図鑑』(マキノ出版)から一部を抜粋して掲載しています。

「正しい筋トレ」と「ざんねんな筋トレ」

こんにちは。私は、筋肉ドクターと呼ばれている、小島央と申します。整形外科医ですが、筋トレを趣味としていること、筋トレに関して独自の理論を提唱していること、そして、クリニックに筋トレ用のジムを併設し、診療に役立て、効果を上げていることから、いつしか「筋肉ドクター」と呼ばれるようになりました。

筋トレブームが続いています。自分もやってみようかな? とお考えになっているかたも多いでしょう。ただ、なかには、始めることを躊躇しているかたもいらっしゃると思います。そんなあなたの頭の中には、「筋トレをしたいが、まず何から始めたらいいかわからない」「筋トレって、やり方がいろいろあって、難しいんじゃないか」こういった、もやもやっとした考えが浮かんでいるはずです。

筋トレでは、「1RMの何%の強度の運動を10レップス×3セット」といったフレーズがしばしば用いられ、それが、筋トレの黄金律のように語られることがあります。初心者にとっては、なんのこっちゃ、というようなものですが、筋トレを始めたかたが、黄金律を守ってセット数を積み重ねても、それで、うまく筋肉がつくとは限りません。

極端なことをいうようですが、いわゆる黄金律などと語られるものも含めて、一般に、筋トレの正しいやり方と信じられていることの大半が、筋力強化という点では、あまり効率的ではないのです。

例えば、「毎日筋トレをしなければならない」「筋トレは時間がかかる」「体をいじめないといけない」「1日何セットやらなければならない」「追い込んでこそ筋トレだ」……。こうした、筋トレに関する漠然としたイメージは、すべて捨ててしまってかまいません。なぜなら、正しい筋トレは、毎日やれないものなのです。むやみに時間やセット数をかける筋トレや、体をいじめ抜く筋トレは、正しくないのです。

こんなふうに話すと、じゃあ、どうすればいいんだよ、といわれるでしょう。あるいは、ほら、やっぱり、筋トレって難しいと思う人もいるかもしれませんね。筋トレって難しいのか、という問いに、私なら明解に答えることができます。

筋トレは難しくありません。筋トレとは、極めてシンプルな運動です。
具体的には、筋トレは、週1回程度。各種目は、それぞれ30秒でいい。やることは、これだけです。ただし、その筋トレは、多少なりともキツイ運動になります。キツイですが、30秒ですむ運動なので、たいていの人ががんばれます。

すると、どうなるか。めきめき筋肉がついてきます。効率的に強くなれます。たとえ、あなたが50歳を超えていても、いや、それ以上のご高齢でも。70歳でも、80歳でも。続ければ、筋肉がつく以外にも、そのほかもろもろの効果が上がってきます。

筋肉ドクター流・筋トレをまとめると、次のようになります。

正しい筋トレのまとめ

・筋トレは週1回、各種目30秒
・効果は抜群。
・カッコよくなる。体が締まる
・健康になる。痛みが取れる
・老化に唯一抵抗できる

筋肉がつくので、体が締まってきて、シルエットはスッキリ。男性はカッコよく、女性なら引き締まって、美しく見えるようになります。私のクリニックでは、ひざ痛や股関節痛に悩む高齢者や、歩くのもしんどくなったという高齢者に筋トレを指導しています。すると皆さん、関節痛の痛みが取れ、楽になります。今までろくに歩けなかったおじいちゃんがスタスタ元気に歩いて、うちのクリニック(=ジム)にやってくるようになります。

では、なぜ、このような効果が得られるのでしょうか。筋肉ドクター流の筋トレの原理は、いってみれば、ただ1つしかありません。

高強度の運動習慣で、筋肉に「適応」を起こさせること。これだけです。

筋トレを始めたものの、なんとなくうまくいっていないと感じているあなた。あなたのやっている筋トレは、「ざんねんな筋トレ」なのかもしれないのです。ここでは、より少ない量の筋トレで、ハードに追い込む筋トレより確実に、効率的に、本格的に体を鍛えることができる方法を提示しようと考えています。

本当に大事な「筋トレ」のポイント

ここでは、筋肉ドクター流の「正しい筋トレ」について、解説したいと思います。
筋肉ドクター流の「正しい筋トレのコツ」を簡単にいうと、
・ウォームアップは必要ない。
・軽い重量の運動では筋トレにはなりえない。
・きつい運動を、一気にやるのがよい。
・ルーチン(定番の筋トレ)は固定する。
・何セットも追い込まなくてよい。
・同じ部位に何種目もやらなくてよい。
・高重量が扱える種目を選択する。
・週1回程度でよい。
・筋トレをやらない日に安静は不要。
です。

おすすめの「全身筋トレ」はたった6つ

みなさんに、特に初心者にお勧めしたい、最低限の全身筋トレは、6種目。以下のようなリストになります。

①脚で蹴る・押す
(スクワット、レッグプレスなど)
②脚を挙げる・引く
(腹筋運動など)
③手で前へ押す
(ベンチプレス、チェストプレスマシンや、腕立て伏せなど)
④手で前から引く
(ベントオーバーローイングなど、ローイングマシン各種)
⑤手で上へ押す
(ショルダープレス、逆立ちプッシュアップなど)
⑥手で上から引く
(懸垂、ラットプルダウンマシン各種など)

ちなみに、私のクリニックでも、6種目のマシンを使い、患者さんや筋トレ希望のかたたちに、ここで挙げたトレーニングをしてもらっています。

筋トレで本当に大事なポイントは

まず、次の2つの点を押さえておきましょう。
①細かいことは気にしない
②最大のパワーを発揮することだけに集中する

これから筋トレを始めようというかたや、始めてまもないかたは、筋肉を意識する必要は全くないのです。では、何が大事なのでしょうか。
パワーを最大限に。挙げるときは全力で、できるだけ速く。戻すときはゆっくり最も重要なのは、筋肉に最大のパワーを発揮させることです。そして、そのためにこそ、すべての意識を集中してほしいのです。

マシン別「6つの筋トレ」のやり方

最後に、私が推奨する6つの運動について、やり方を解説します。なお、これらの筋トレのマシンがすべて、あなたの通うジムにあるとは限りません。その場合には、フリーウェイトを使うなどして、工夫して行ってください。

①レッグプレス

▼鍛えられる筋肉

スクワットのように、下半身全般の筋肉(大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋など)の強化に役立つ。

▼やり方

①全力で速く押し、伸びきるところまでは押さない。
②ゆっくり戻す。重りが着くところまで戻しきらずに、続ける。

画像1: イラスト/勝山英幸
イラスト/勝山英幸

②アブドミナル

▼鍛えられる筋肉

いわゆる腹筋(腹直筋・腸腰筋など)の強化、引き締め、腹筋が割れやすくなる

▼やり方

①体幹を曲げるときに、全力で速く上げ、できるだけ曲げきる。
②ゆっくり戻す。力が抜けてしまうところまで戻しきらずに続ける。

画像2: イラスト/勝山英幸
イラスト/勝山英幸

③チェストプレス

▼鍛えられる筋肉

上半身の多くの筋肉(大胸筋、三角筋、上腕三頭筋など)

▼やり方

①全力で速く押し、伸びきるところまでは押さない。
②ゆっくり戻す。浅くならないように、できるだけギリギリまで戻して、続ける。

画像3: イラスト/勝山英幸
イラスト/勝山英幸

④ローイング

▼鍛えられる筋肉

背中の筋肉(広背筋・僧帽筋など)

▼やり方

①全力で速く引ききる。ひじが後ろへくるだけじゃなく、肩甲骨も寄せきる。
②ゆっくり戻す。肩やひじが前へ伸びるまで戻しきらない。力を抜かない。

画像4: イラスト/勝山英幸
イラスト/勝山英幸

⑤ショルダープレス

▼鍛えられる筋肉

上腕三頭筋、三角筋など、腕・肩の筋肉

▼やり方

①全力で速く押し上げ、腕が伸びきるところまでは押し上げない。
②ゆっくり戻す。できるだけギリギリまで戻して、続ける。 

画像5: イラスト/勝山英幸
イラスト/勝山英幸

⑥ラットプルダウン

▼鍛えられる筋肉

背中の筋肉(広背筋・僧帽筋など)

▼やり方

①全力で速く引き、胸の前まで引ききる。
②ゆっくり戻す。ひじが伸びきるところまで戻しきらずに、続ける。
*バーを首の後ろへ引かない。こちらは、ラットプルダウン・ビハインドネックといわれるやり方。後ろへ引くとケーブルクランチのように背中をうまく使えず、腹筋の運動になるかたが多いので、胸の前へ引く方法を推奨している。

画像6: イラスト/勝山英幸
イラスト/勝山英幸

まとめ

今後、ますます人間は動かない生活を加速するでしょう。ひどい運動不足に陥り、筋力低下が急速に進む人がふえるのではないかと、とても危惧しています。

安静は、健康にとって非常に有害なもの。高齢化の影響もあり、油断していると、多くのかたが床上安静(寝たきり)にかなり近い状態にも陥りかねません。そんなかたにも、ぜひ筋トレをお勧めしたい。筋トレを行うと、単に筋肉が強くなるだけではありません。筋肉が強化されることで、より健康になり、より活発になり、老化に負けず若々しくあり続けることも可能なのです。
この記事が、あなたの生活や生き方を変えるきっかけになるのなら、これほどうれしいことはありません。

なお、本稿は『ざんねんな筋トレ図鑑』(マキノ出版)から一部を抜粋して掲載しています。下記の本は、知りたい情報の全文がコンパクトにまとまった一冊です。詳しくは以下のリンクをご参照ください。

画像: 【正しい筋トレのやり方】初心者におすすめのメニューは「たった6つ」筋肉ドクターが紹介!
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2020-11-18 13:25

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